• サービス担当者会議

    サービス等利用計画を作成する際、原案の段階で、担当の相談支援員(介護分野ではケアマネージャー)を中心に、サービスを提供する事業者や、サービスに関わる担当者、利用者本人やその家族、医師などが集まって、それぞれの立場から意見を述べ、サービスを検討する会議。多職種間での認識のズレをなくすための目線合わせの場であり、利用者とその家族に理解・納得できるサービスを提供するためにも必要な場となっている。

  • サービス等利用計画

    障がい者の心身の状況、置かれている環境やニーズを把握し、本人の意向に合わせて、総合的な支援方針や解決すべき課題を踏まえ、最も適切なサービスの組合せなどについて検討した、総合的な支援計画。市区町村は、提出されたサービス等利用計画(案)を考慮して、サービスの支給決定を行う。市が行う支給決定の根拠となるので、支給決定を受けるすべての利用者にサービス等利用計画が作成される。サービス等利用計画は、①相談支援事業所が作成するものと、②本人や家族、支援者が作成するもの(セルフプラン)の2種類がある。

  • サヴァン症候群

    1887年に、J・ラングドン・ダウン博士により「イディオ・サヴァン(天才的白痴)」と名付けられ、のち「サヴァン症候群」と呼ばれるようになる。知的障害や発達障害などがある者が、暗算、記憶、音楽、語学などのごく特定の分野に限って非常に優れた能力を発揮する症状。脳の器質に原因があるという説や、自閉症障害特有の認知能力に原因があるのではないかという説もあるが、原因は特定されていない。コミュニケーション障害や自閉性障害のある者の中でも、このような能力を持っているのはごく一部である。

  • 作業検査法

    被験者に特定の作業課題を行わせて、その結果から個人の特性を知ろうとする検査。
    作業課題を行う際の意思の緊張、興奮、慣れ、練習効果、疲労、混乱、欲求不満などがパーソナリティを反映するという前提に立つ。長所は、「実施が容易であり適用範囲が広い」こと、「反応が客観的である」こと、「言語を媒介しない」こと、「被検者の意図的操作が入りにくい」ことなど。短所は、「性格の限られた面しか評価を行うことができない」こと、「被検者に苦痛感を与える」こと、「作業課題に対する意欲の有無が検査の結果に影響する」ことなど。
    代表的なものに、内田クレペリン検査、ベンダー・ゲシュタルト検査がある。

  • サポート校

    高等学校通信教育を受けている生徒や、高校に行かずに高等学校卒業程度認定試験(高認)合格を目指す人に対して、学習支援などを行う教育施設。 サポート校という呼称は通称であり、法的な根拠・区分・権限などはなく、学習塾の一種である。サポート校は、予備校や学習塾・専門学校など教育関連の学校法人が運営していることが多く、そのため運営母体の強みに合わせて、職業体験や進学コースが選べるなど、学校ごとに特色が大きく異なる。

  • 作業療法(OT)

    作業療法(OT)とは、日常生活にサポートが必要な人に作業を通して働きかけます。「食べる」「着替える」「入浴する」など、日常生活に関わる全ての活動は「作業」にあたります。家庭の中だけではなく、遊びや車の運転など、あらゆることが作業と考えることができます。作業療法を担当するのは、作業療法士である。

  • 視覚運動ゲシュタルト・テスト

    1946年にL. ベンダーによって開発された視覚・運動形態機能を測定するための検査。
    被検者はまとまりやパターンの繰り返しのある様々な模様・図形を描写することを求められ、その描写の正確さ、混乱度、描画方法などが査定される。児童の発達成熟度や、成人の視覚や運動機能の障害、大脳の器質的損傷の診断、場合によっては統合失調症などの診断も可能となる。比較的、短時間で実施できるテストである。

  • 実験衝動診断学

    1947年にL. ソンディによって考案された投影法検査。
    彼が構想した運命分析学を検証するために考案されたもの。48枚のトランプカード状の顔写真セットを用いる。てんかん、うつ病などの8タイプの精神疾患患者の顔写真を被検者に提示し、好き嫌いを評定させることで性格の査定を行う。深層レベルの意識を拾い上げる検査として、多くの場面で用いられてきたが、運命分析や衝動分析の理論的根拠に対する妥当性の検討が問題とされている。適用年齢:3歳~。所要時間:7~15分。

  • 質問紙法

    検査内容に関する質問項目を用意し、被検者に回答してもらい、自己評価に基づいて診断する方法。
    個別でも集団でも実施できる。長所は、「施行方法や採点方法がマニュアル化されている」こと、「容易に実施できる」こと、「短時間で集団にも実施できる」こと、「評価に主観が入らない」ことなど。短所は、「被検者の言語能力や自己評価能力に依存する」こと、「質問項目以外のことを知りえない」こと、「意識レベルしか知りえない」こと、「回答の意味(意図)を確認できない」こと、「虚偽または意識的に操作された回答のチェックが困難」なことなど。代表的なMMPI、MPI、Y-G性格検査、EPPS性格検査などの他に、16PF人格検査、東大式エゴグラム(TEG)、下田式性格検査(SPI)、精研式パーソナリティインベントリィ、カリフォルニア人格検査(CPI)、SG式向性検査など、多様な質問紙法がある。質問紙法は、人格目録法とも呼ばれ、もっともよく利用される。それは、検査の構成や使用法が誰にでもよく分かるからである。

  • 児童家庭支援センター

    1998年の児童福祉法の改正に伴い、児童福祉施設とともに置かれるようになった、相談援助事業を展開する施設。
    地域によっては「子ども家庭センター」「子ども家庭支援センター」などの名称もある。児童虐待、不登校、発達障害児等に対するケアなど、専門的援助が必要な子どもや家庭に対し、早期に支援を展開して、児童相談所の機能を補うことを目的とした、児童福祉の専門援助機関。複雑化する子どもの家庭問題について、ソーシャルワーカーや心理療法士などの高い専門性と、地域の福祉資源とを組み合わせ、有効に機能させる役割を担っている。対象者は、子ども、家庭、地域の方々など。

  • 児童相談所

    児童福祉法第12条に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関。
    児相と略称される。すべての都道府県、政令指定都市、中核市に最低1か所以上の児童相談所が設置されている。日本国民は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した際は、速やかに市町村、福祉事務所または児童相談所のいずれかに通告しなければならないとされている。虐待以外にも、保護者の病気や死亡などの事情で子どもが家庭で生活できなくなったとき、その他子どもの人権にかかわる問題があるとき、発達上の課題で心配なとき、盗み・乱暴・性的いたずら・薬物の習慣などがあるとき、里親として家庭で子供を育てたいとき、などの様々な相談を行い、それぞれに適切なサービスを提供する。
    静岡市児童相談所
    〒420-0947 静岡市葵区堤町914番地の417
    054-275-2871
    開館時間:8時30分~17時15分
    休館日:土日祝休日、12月29日~翌年1月3日
    利用料:なし

  • 児童発達支援

    障害のある未就学児(0~6歳)を対象にした通所訓練施設。療育や機能訓練に特化した施設。幼稚園や保育園や認定こども園のように1日通うケースや時間設定がされていて就園後などに並行通園するケースなどもある。

  • 児童発達支援管理責任者

    児童発達支援・放課後等デイサービスの利用児童に対して、個別支援計画を作成し、療育を主導する立場にある人。
    児童発達支援・放課後等デイサービスの施設には1名以上が常勤かつ専従でいなければいけない。「対象の支援事業や施設で5年間以上の相談支援業務の実務経験」か、「介護や福祉関連の資格を保有した上で、対象の施設で5年間以上の直接支援業務の実務経験」、または「対象の国家資格等による仕事に5年以上従事している、もしくは相談、直接支援業務について3年間以上の実務経験」があることが必要で、加えて都道府県が実施する「児童発達支援管理責任者研修」の受講が必要となる。施設の管理者として兼務することもある。

  • 児童福祉法

    社会福祉六法の1つで、戦後間もない1947年(昭和22年)に制定された。「すべて国民は児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ育成されるよう努め」、また「児童はひとしくその生活を保障され、愛護され」なければならないという原理に基づき、これを実現するための児童の福祉を担当する公的機関の組織や、各種施設及び事業に関する基本原則を定める日本の法律。

  • 自閉症

    自閉症は先天性の脳機能障害による発達障害で、他人との関係を作ることや自分の意思を伝えることが苦手というような特性を持つ。
    先天的なものなので、後天的になる障害ではない。現在は、自閉症やアスペルガー症候群などには互いの境界線を引くのは極めて厳しいこともあるので、病気の一連の続きとして自閉スペクトラム症という。

  • 自閉症および関連領域のコミュニケーションに障害をもつ子供たちの治療と教育

    不適切行動に焦点をあてるのではなく、適切な技能を発達させることを重視した療育法の一つ。自閉症の人自身の適応力を高めること、自閉症の人にとって理解しやすい環境を準備する(構造化)こと、が特徴。1970年代にノースカロライナ大学のE. ショプラー教授が研究・開発・実践した。厳密には、療育方法自体を指しているのではなく、診断~療育、環境整備までのシステム化のことを指している。

  • 自閉症スペクトラム障害

    DSM-Ⅴの分類では、知的障害の有無に関わらず、①社会性の障害、②言語コミュニケーションの障害、③想像力の障害、によって診断される、脳機能の障害。DSM-Ⅳでの広汎性発達障害の分類のうち、遺伝子疾患であることが判明したレット症候群は除外され、その他の分類は自閉症スペクトラム障害に統合された。
    障害の特性は生後2~3年の幼年期に明らかになることが多いが、知的発達の障害を伴わない場合や症状が軽い場合には、大人になってから初めて診断されることもある。

  • 社会測定法

    1953年にJ. L. モレノが創始した、集団内の人間の心理的関係や集団構造を、測定・分析する理論。集団の中での不適応現象や病態行動の診断と治療を目的とする。知己テスト、ソシオメトリック・テスト、自発性テスト、状況テスト、役割演技法などによって測定する。社員研修でも使われ、表面的にはわからない職場の人間関係を把握し、人事考課や問題の発見などに役立てることができる。

  • 就学時健康診断

    初等教育(小学校)に就学する直前(年長児)に行なわれる健康診断。
    就学時健診と呼ばれることが多い。就学前年度の11月30日までに行なわれる。就学時健診では、身体の疾患や、知的発達の度合いが検査される。健常児であれば小学校普通学級に就学するが、心身に障害があり特別な支援が必要な児童の場合、障害のある児童を対象とした就学相談を受けるよう指導される場合が多い。健診後、1月31日までに、就学先学校が各家庭に通知される。市町村立小学校の普通学級や特別支援学級に就学する児童は市町村、特別支援学校に就学する児童は都道府県の教育委員会が管轄する。

  • 就学相談

    就学時健康診断などで、教育的配慮が必要と判断された児童の教育について、一人ひとりの状態や発達段階、適性などに応じ、その個性や能力が発揮できる教育環境や支援について、自治体が行う相談。子どもの就学先を決めるための保護者、児童、教育委員会の間の話し合いと、その決定までのプロセスを指す。

  • 主題統覚検査

    1935年にアメリカの心理学者C. D. モーガンとH. A. マレーによって考案された投影法性格検査。
    人間的な営みや体験を描いた絵を被験者に示し、その絵から、登場人物の欲求や要求、将来を含めた物語を作らせる。空想された物語の内容から、被験者の欲求などを明らかにする。児童版として、L. Bellakによって開発されたCAT(児童用絵画統覚検査、登場人物の代わりに動物が描かれている)がある。TATとも呼ぶ。

  • 樹木画テスト

    1952年にスイスの心理学者K. コッホによって創始された、描画による投影法性格検査。
    A4用紙に鉛筆で「実のなる樹木を一本」描かせ、その図を評定する。他の描画法と同様、様々な年齢層に対して、言語表出が困難な被験者に対しても、知的能力や発達の診断に用いることができるという利点がある。人格診断だけでなく、職業適性、精神障害や知的障害の早期発見、心理療法の効果測定など広く用いられる。投影法の一種。

  • 障害児

    身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)がある、又は、難病患者等と障害の程度が同程度のある児童のこと。児童福祉法では、児童とは18歳未満の人のことである。

  • 障害児童通所支援

    児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後デイサービス等に障害児を保護者のもとから通わせて、日常生活での基本的動作を指導し、独立自活に必要な知識技能を身に付けさせ、また集団生活への適応のための訓練を提供することを目的とした事業。児童福祉法に基づく。

  • 障害児入所支援

    障害のある児童を入所させて、保護、日常生活の指導、自活に必要な知識や技能の付与などを行う施設。
    福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」がある。以前は障害種別ごとに施設が分かれていたが、複数の障害に対応できるよう平成24年度より一元化が行われた。ただし、これまで同様に障害の特性に応じたサービス提供も認められている。身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害児を含む)が主な対象だが、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童であれば、手帳の有無は問わない。

  • 障害者

    精神や身体の疾患や変調など様々な原因で、長期間、日常生活や社会生活に大きな制限を受けている人。年齢は18歳以上。 児童福祉法では、18歳未満の障害者を区別して障害児と呼ぶ。

  • 障害者虐待防止法

    障害者の虐待の予防と早期発見、および養護者への支援を講じるための法律。
    2012年10月に施行された。正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」。虐待問題は社会全体で共有すべきという視点から、虐待を発見した国民には市町村や都道府県に通報する義務を課している。国と地方公共団体は、障害者虐待の防止、養護者への支援を進める義務を負う。通報を受けた市町村は、被害者の生命に関わる重大な危険があると判断した場合、家族の許可がなくても家庭内に立ち入って調査することができる。

  • 障害者権利条約

    あらゆる障害者(身体障害、知的障害、精神障害など)の、尊厳と権利を保障するための条約。21世紀初の国際人権法に基づく人権条約であり、2006年12月に国連総会において採択された。日本国政府は2007年9月に署名、2013年12月に批准。障害のある人の多くが、差別、乱用、貧困に晒されていることを指摘し、個々人が国際人権法に定められた人権を促進する責任があることを明記している。障害者の視点から作られた条約であることも特徴的。

  • 障害者差別解消法

    障害を理由とする差別の解消に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体、民間事業者などにおける障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現につなげることを目的とした法律。この法律では、「不当な差別的取扱い」として、例えば、障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を禁止している。また、障害のある方に対し、合理的な配慮を行うことが求められ、配慮を行わないことで、障害のある方の権利利益が侵害される場合には、差別に当たるとしている。

  • 障害者総合支援法

    「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」の施行により、平成25年4月から「障害者自立支援法」が「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」となった。法律の目的は、「障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与すること」とされている。主な改正点は、平成25年4月から、難病患者等で、身体障害者手帳の取得ができないが、一定の障害がある方々が、障害福祉サービス等の対象となった。平成26年4月からは、障害程度区分から障害支援区分への見直し、重度訪問介護の対象拡大、ケアホームとグループホームの一元化などが実施された。平成27年7月からは、障害者総合支援法の対象となる難病等が拡大された。

  • 障害者手帳

    身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者用)、精神障害者保健福祉手帳といった、障害のある人に対して発行される手帳。障害者として都道府県などで認定を受けると発行される。福祉サービスを利用することができる。

  • 情緒障害学級(情緒級)

    特別支援学級のうち、「自閉症またはその周辺の障害のある児童」「情緒に課題がある児童」などを対象とした学級。知的な遅れが少なく知的障害学級の対象とならない生徒や、不登校の生徒や、生育歴に問題があり情緒が安定していない生徒などが対象となる。

  • 小児期崩壊性障害

    少なくとも生後2年間は年齢相応な発達があった後に、突然、知的機能、社会機能、言語機能の退行が起こる障害。通常2~5歳で退行がみられ、6ヶ月程度で退行が終わった後は、自閉症と似た症状を示すようになる。治療には自閉症と同様のアプローチを行う。

  • 職業興味検査

    様々な職業活動への興味を測定する質問紙法検査。
    1978年にJ. L. ホランドが創始した理論に基づいており、日本では厚生労働省が大学生向きに作成したVPI職業興味検査のことを指す。日本語版VPIでは、6つの人格型(現実、研究、芸術、社会、企業、習慣)のどれを志向するかを判定する。この人格型は、E. シュプランガーの価値志向性の類型とも関連しており、ある程度の信頼性、妥当性が実証的に検証されている。比較的短時間で実施可能である。

  • 自立支援給付

    在宅で訪問によって受けるサービスや、施設への通所や入所を利用するサービス、また自立促進のための就労支援など、利用者の状態やニーズに応じて個別に給付されるサービス。 一部を除き利用者に身近な市町村の実施事業とされ、介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具に分けられる。

  • 身体障害

    身体機能の一部に不自由があり、日常生活に制約がある状態。身体障害者福祉法では、「視覚障害」、「聴覚・平衡機能障害」、「肢体不自由」などの5種類に分類される。

  • 身体障害者手帳

    身体上の障害がある者に対して、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が交付する。各種の福祉サービスを受けるために必要となる。手帳の交付対象となる障害の範囲は、身体障害者福祉法によって定められており、身体障害者障害程度等級表により1級から7級までの区分が設けられている。障害者手帳の一種。

  • 心的外傷後ストレス障害

    震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などによる、強烈なショック体験や、強い精神的ストレスが、心のダメージとなり、著しい苦痛や、生活機能の障害がもたらされているストレス障害。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってからも、その経験に強い恐怖を感じ、突然怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が現れる。精神療法においては認知行動療法などが有効であり、薬物療法も(精神療法が成果を上げないか利用できない場合に限り)行われる。

  • 人物画知能検査

    元々はF. グッドイナフが、幼児・児童の知的発達の測定用に開発した検査。1948年にK. マコーバーが知能測定よりパーソナリティの査定を意図して実施した。被験者に人物像を描かせ、その描画を身体各部分の抽出の有無・描出法などで採点する。採点項目が50項目用意されており、そこから被検者の精神年齢が算出できる。3歳くらいにならないと検査困難だが、幼児への発達診断としての利用可能性においては優れている。知能検査ができない成人にも適用が可能である。

  • 人物推定法

    集団内の構成員の性格特徴を、第三者の目からではなく構成員相互の評価により診断するための検査方法。各人に「集団の中で親切な人は誰ですか」「意地悪な人は誰ですか」といった質問用紙に記入させ、それを集計する。ソシオメトリック・テストから発展した。得られた結果の評価に際しては、あくまでも客観的な行動を評価したものではなく、構成員間の評価の反映であるという認識が必要。

  • 心理検査

    個人の精神、メンタルな部分を測定する精神検査や、性格や態度を測定する人格検査(性格検査)、図形や数字、言語、絵などを利用する知能検査などがある。約50種以上のものが標準化されて利用されているが、一般的な適性検査に使用されるものは限られている。形式としては、質問紙法、作業検査法、投影法、面接法、評定法などがある。心理検査は被験者の環境や心理状態などによって影響されて結果が違ってくるので、そういった原因によるぶれを少なくするため、検査前には被験者と検査者の間に信頼関係(ラポール)を樹立しなければならない被験者には、事前に心理検査の目的をよく説明し、不安を取り除いた上で検査に当たるのが望ましい。

  • 睡眠障害

    眠ることができない不眠症、日中に異常に眠気が高まる睡眠異常症、過度に眠ってしまう過眠症など、睡眠に関係する医学的な障害。睡眠の問題や日中の眠気の問題が1カ月以上続くときは、何らかの睡眠障害にかかっている可能性が考えられる。睡眠障害は、その原因によって治療法が異なるため、原因を特定し、原因の除去に努めるのが最重要である。

  • 精神障害

    脳および心の機能や器質の障害によって起きる精神疾患によって、日常生活に制約がある状態。統合失調症や躁うつ病、うつ病などの気分障害、神経症、パニック障害、適応障害など、様々な疾患によって起こる。

  • 精神障害者保健福祉手帳

    何らかの精神疾患(てんかん、発達障害などを含む)により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象として発行される手帳。対象となるのは全ての精神疾患で、うつ病、そううつ病などの気分障害、てんかん、薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症、高次脳機能障害、発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)、その他の精神疾患(ストレス関連障害等)などが含まれる。障害者手帳の一種。

  • 性同一性障害

    性の自己意識(心の性)と生物学的な性別(身体の性)が一致しない状態をいう医学的な疾患。
    性別の不一致感から、悩んだり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもある。体の性の変異に関わる性分化疾患、性的指向に因る同性愛や性自認によるものではない異性装とは根本的に異なる。原因は解明されていないが、「身体的性別とは一致しない性別への脳の性分化」という説が有力。社会への適応のサポートを中心とする精神科領域の治療と、身体の性を心の性と適合する性別へ近づけるための身体的治療が行われている。

  • 摂食障害

    精神疾患のひとつで、食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症などの症状がある。
    拒食と過食は周期的にくり返されることが多い。人間関係による心理的ストレス、社会適応性の未発達、コミュニケーション不全などが原因とされ、依存症の一種とも考えられている。また、リストカットなどの自傷行為を行う患者には、摂食障害の合併がみられることが多く、摂食障害の患者は強迫的な性格傾向が強いと考えられている。治療では、医師や心理カウンセラーの心理的なカウンセリングを受けることが有効である。精神療法以外にも、薬物療法が補助治療として用いられることもある。

  • ソーシャル・スキル・トレーニング

    略してSST。認知行動療法の一つで、対人関係の中で相手と適切なコミュニケーションを取るための技能(ソーシャル・スキル)を向上させるためのトレーニング。トレーニングのテーマも方法も、多種多様である。

  • 双極性障害

    極端に活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくり返す精神疾患。
    ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)では「気分障害」に分類されている。自殺リスクが高く、その他の精神的問題(不安障害や薬物乱用)の併発も多い。遺伝による要因が大きいことが指摘されている。双極性障害の躁、うつ状態はほとんどの場合回復するが、再発率が非常に高く、薬物療法による予防が必要となることが一般的である。うつ病と関係した病気と思われがちだが、実際は全く違う病気、障害であることが分かっている。

  • 相談支援事業所

    都道府県の指定をうけて、障害のある人が障害福祉サービスを利用するための、サービス利用計画を作成、利用の調整、定期的なモニタリング(計画の見直し)を行う機関。市町村は、相談事業として、障害者の福祉に関する相談に応じて必要な情報を提供して助言を行うことになっているが、この役割を相談支援事業者に委託することができる。このため、市町村と相談支援事業所は、連携して障害者の相談支援を行っている。日常生活上の相談、福祉サービスの利用相談、生活力を高めるための相談、就労の相談、住居の相談、権利擁護の相談、ピアカウンセリングなどの相談が無料でできる。

  • ソシオメトリック・テスト

    J. L. モレノの創始した社会測定法(ソシオメトリー)における技法のひとつ。集団の成員に、一定の基準に基づいて、選択あるいは排斥の感情を抱く他成員を指名させることによって、個々の集団成員の選択‐排斥関係、集団全体の構造、組織化の程度を測定し、診断し、改善の手掛かりを得る人間関係テスト。社会測定法の一種。