• ダウン症

    ダウン症候群の略称。染色体の異常によって発症する疾患群。新生児にはもっとも多い遺伝子疾患。
    知的障害のほかに外見的な特徴がある。新生児の約600~800人に1人がダウン症候群だといわれている。

  • 田中ビネー知能検査

    日本の心理学者田中寛一が、フランスの研究者ビネーの知能検査に基づき開発した検査。適応範囲:2歳~成人。
    改訂を重ねながら国内で広く使用され、知能指数とあわせ13歳以下の子どもに、精神年齢を算出し結果とするのが特徴のひとつ。現在は2003年に改訂されて「田中ビネー知能検査 Ⅴ」と名称が新しくなっている。

  • 短期記憶

    アメリカの心理学者 W.ジェームズが一次的記憶 primary memoryと名づけたもの。短期間のみ保持される記憶のこと。その場で指示を聞き即時実行するなどの場合に必要となる。一度に記憶できる最大項目数は5~9項目、時間は15秒~1分以下といわれる。短期記憶に対し、容量に制限がなく、ほぼ永続的な記憶を長期記憶という。身近な物の名前、自転車の乗り方などはこちらにあたる。

  • 地域移行支援

    障害者支援施設等に入所している方または精神科病院に入院している方など、地域における生活に移行するために重点的に支援を必要としている方に対して、住居の確保などの地域生活に移行するための相談や必要な支援を行う。施設・病院からの退所・退院にあたって支援を必要とする方に、入所・入院中から新しい生活の準備等の支援を行うことで、障害のある方の地域生活への円滑な移行を目指す。
    対象者は、障がい者支援施設、のぞみの園若しくは療養介護事業所に入所している障がい者。精神科病院(精神科病院以外の病院で精神病室が設けられている者を含む)に入院している精神障がい者。生活保護施設(救護施設及び更生施設)に入所している障がい者。刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)及び少年院に入所している障がい者。更生保護施設等に入所している障がい者。

  • 地域生活支援事業

    障害のある人が、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、地方自治体(都道府県、市区町村)が、地域の実情に応じた柔軟な事業形態で、計画的に実施する事業。市区町村が行う事業には、相談支援事業や移動支援事業などがある。都道府県は、より専門性の高い事業や、広域的な支援事業、相談支援者や指導者の育成事業などを行う。地理的条件や社会資源の状況から柔軟な形態をとることができる。

  • 地域定着支援

    1人で生活する障害のある方に対し、常に連絡がとれる体制を確保し、緊急に支援が必要な事態が生じた際に、緊急訪問や相談などの必要な支援を行う。入所施設や精神科病院から退所または退院した方や地域生活が不安定な方などに、「見守り」としての支援を行うことで、障害のある方の地域生活の継続を目指す。グループホーム・ケアホームの家賃について、障害者の地域移行をさらに進めるため、その一定額を助成する支援もある。

  • チック症

    突発的で、不規則な、体の一部の速い動きや発声を繰返す状態が、一定期間続く障害。
    症状が運動性と音声があり、運動性チックは4、5歳ごろから起こり始める。一方、音声チックはやや遅く始まり、10歳過ぎになる。
    子どもにみられるチックは、一過性・発達性チックといわれるものが大多数だが、固定・慢性化して激症化するとチック症と診断される。 原因は、身体因(脳の機能障害という説が有力)と心因が相互に関係しあっていると考えられている。まばたき、首振り、顔しかめ、口すぼめ、肩上げなど上半身によく現れるが、飛び跳ね、足踏み、足けりなど全身に及ぶ運動性チックといわれるものもある。また、咳払い、鼻ならし、叫びや単語を連発する発声チックといわれるものもある。治療の目標は、ストレスなどへの適応性を高め、人格の発達援助を目指すことであるが、比較的重症な患児には薬物療法も行われる。一方、軽症の場合は、遊戯療法などの行動療法的なアプローチが有効とされている。親へのカウンセリングも重要視される。

  • 知的障害

    知的能力障害/知的発達症の略語。神経発達症(発達障害)の1つである。日常生活で読み書き計算などを行う際の知的行動に支障がある状態。「発達期(おおむね18歳未満)において遅滞が生じること」「遅滞が明らかであること」「遅滞により適応行動が困難であること」の3つの要件が基準とされている場合が多い。

  • 知能検査

    個人の知能を測定する検査。
    知的な操作能力、認知的な情報処理能力に焦点を当てて、学習などの基本的な潜在能力や、課題解決のための基本能力を測る。検査の結果は、精神年齢、知能指数、知能偏差値などによって表される。測られる能力や知能の概念は、検査によって多少異なる。メンタルテストとも呼ばれる。個別式と集団式があり、集団式には、数研式学年別知能検査、アーミー・テスト(1918年にR. M. ヤーキーズらが考案したアメリカ陸軍式知能検査)などがある。
    日本では、「ウェクスラー式知能検査」、「田中ビネー知能検査」、「KABC心理・教育アセスメントバッテリー」が比較的よく使われている。

  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)

    多動性、不注意、衝動性などの症状を特徴とする神経発達症の一つ。注意力を維持しにくい、時間感覚がずれている、様々な情報をまとめることが苦手などの特徴がある。日常生活に大きな支障をもたらすが適切な治療と環境を整えることによって症状を緩和することも可能である。遺伝的な要因もあるとされる。ADHDは大人になってから診断がつくことも多い疾患である。

  • 通級指導教室(通級)

    通常の学級に在籍する、比較的軽度の障害がある児童生徒に対して、障害の状態に応じて特別な指導を行うための教室。教科の学習は通常の学級で行う。言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)・肢体不自由・病弱・身体虚弱の児童生徒が対象。障害の状態を改善・克服するための自立活動を中心に、必要に応じて各教科の補充指導を行う。特別支援学級・特別支援学校に在籍する児童生徒は対象外。通級教室。学校教育法施行規則第140条及び第141条に基づいている。

  • 通信制高校

    高等学校のうち、通信による教育を行う課程。
    元来は、全日制・定時制の高校に通学することができない青少年に対して、通信の方法により高校教育を受ける機会を与えるために創設された。一人ひとりに合ったペースで学習し、全日制や定時制の高等学校と同様の卒業資格を取得することができるため、現在では、すでに働いている人や、高校を中退した人、学業不振で現在の学校では卒業が困難な人など、様々な人が通っている。不登校で悩む生徒や、発達障害により通常の学習が難しい生徒などにも適したスタイルとして注目されている。芸能活動やアスリート活動と学業を両立させるために通信制高校を選択する生徒もいる。最近では、ICT化が進みICTツールを活用して日々の学習を行えるようになっている。

  • 低機能自閉症(カナー症候群)

    知的障害を伴う自閉症。低機能自閉症のIQは70以下、高機能自閉症のIQは85以上であり、その間がボーダーラインとされる。カナー症候群(カナー型自閉症)は、自閉症の中で知的障害を合併する場合を指す用語で、医学的な診断名ではない。カナー型自閉症、カナータイプなどと呼ばれる。

  • 定時制高校

    高等学校のうち、夜間や、その他の特別の時間や時期に、授業を行う課程。元来は、中学校を卒業後、就職などの様々な理由で、全日制の高校に進めない青少年に対して、高校教育を受ける機会を与えるために創設された。現在では、全日制課程からの転・編入学や、過去に高校教育を受けられなかった人など、様々な動機や学習歴を持つ入学者が増えている。1日の授業時間が短い分、4年かけて卒業する。最近では3年で卒業するコースもある。

  • ディスカリキュア(算数障害)

    学習障害のうち、数の理解や計算に困難を示す症状。数字や記号を理解・認識できない、簡単な計算が出来ない(指を使わなければできない)、繰り上がりや繰り下がりが理解できない、数の大小の理解が困難、などの症状が見られる。識字障害やADHDとの関係性はまだ明らかになっていない。学習障害のある子どもの特性や支援は一人ひとり異なる。環境を整え、学習方法を工夫することで困難を軽減する。

  • ディスグラフィア(書字障害)

    学習障害うち、文字を書くことに困難を示す症状。黒板の文字を書き写すのが難しい、鏡文字を書いてしまう、作文が書けない、読点が理解できない、などの症状が見られる。学習障害のある子どもの特性や支援は一人ひとり異なる。環境を整え、学習方法を工夫することで困難を軽減する。

  • ディスレクシア(読字障害)

    学習障害のうち、文字を読む能力の障害。よく似た文字が理解できない、文章を読んでいてもどこを読んでいるのかわからない、逆さに読んでしまう、読んでも内容が理解できない、などの症状が見られる。近年の研究によって、脳での情報処理の仕方の違いが原因と考えられている。学習障害のある子どもの特性や支援は一人ひとり異なる。環境を整え、学習方法を工夫することで困難を軽減する。

  • 適応障害

    ある特定の状況や出来事が、その人にとって、とてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れる精神疾患。DSM-Ⅴでは「ストレス関連障害群」に含められる。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善する。ストレスの原因から離れられかったり、取り除けなかったりする状況では、症状が慢性化することもあるため、カウンセリングを通して、ストレスを感じる状況に適応する力をつけることも、有効な治療法である。
    また、適応障害とほかの精神疾患をある時点では明確に区別できない場合もあり、発症当初は適応障害と診断されても、経過を追ううちにうつ病や統合失調症、不安障害など診断名が変わることもある。

  • 適性検査

    “何らかの課題や仕事に適性があるかどうかを判定する検査。様々な職業活動への興味を測定する質問紙法検査である
    VPI(Vocational Preference Inventory)、ある職務を遂行するための必要な能力を測定する検査であるGATB(General Aptitude Test Battery)などが代表的。”採用試験で用いることも増えている。

  • 投影法

    意味のあいまいな絵などを被験者に見せて解釈させ、表われた傾向を分析して、心の内面や性格を診断する方法。長所は、「個人の全体的・力動的な性格の把握が可能」なこと、「意識レベルにとどまらず無意識レベルを知ることができる」こと、「反応が一定方向に故意に歪められることが少ない」ことなど。短所は、「結果の処理や解釈が難しく、検査者の専門的な訓練と経験、深い人間洞察力が要求される」こと、「検査の多くは個人法のため、実施に時間と労力がかかる」ことなど。代表例としてロールシャッハ・テスト、TAT(主題統覚検査)、P-Fスタディ、SCT(文章完成法)、描画法、人物画テスト、バウムテスト、HTPテスト、風景構成法、動的家族画などがある。

  • 統合失調症

    思考、知覚、感情、言語、自己と他者の感覚などがまとまりづらくなる精神障害。
    健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状(幻覚、妄想など)と、健康なときにあったものが失われる陰性症状(意欲の低下、感情表現の減少など)がある。また、認知機能障害やパニック発作なども症状としてあげられる。日本では以前は「精神分裂症」と呼ばれていた。原因は解明されておらず、また、単一の疾患ではない可能性も指摘されている。治療では、薬物治療を中心に、認知行動療法やSSTなど多様な心理社会的介入が行われる。
    日本の統合失調症の患者数はおよそ80万人程度といわれており、世界各国の報告によると100人に1人弱がかかるという比較的頻度の高い病気であると考えられている。多くは10歳代後半から30歳代頃に発症するといわれている。

  • トゥレット症候群

    チックを主な症状とする、脳機能の障害。
    脳内神経伝達物質ドーパミンの過剰活動が原因と考えられている。平均6~8歳、遅くても14歳くらいまでに発症する。まばたき・首を振るなどの単純チックの症状から始まり、咳払い・鼻ならしなどの音声チックの症状、さらに不謹慎な言葉を無意識に言ってしまう複雑チックの症状が出るようになる。平成17年に施行された発達障害者支援法による定義では、トゥレット症候群は「その他これに類する脳機能障害」に含まれる。
    トゥレット症候群によくみられる併存症には、強迫症/強迫性障害、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害がある。また、睡眠障害、学習障害、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害、不安、抑うつ傾向、怒り発作などがみられる。

  • 特別支援学級(支援級)

    小学校・中学校・高等学校または中等教育学校内に置かれる、教育上特別な支援を必要とする児童・生徒のための学級。2007年度の学校教育法改正に伴い、従来の特殊学級の名称を変更して設置された。知的障害学級、情緒障害学級、言語障害学級、弱視、難聴学級、病弱学級などが含まれる。
    対象となる児童生徒は、弱視者、難聴者、知的障害者、肢体不自由者、病弱・身体虚弱者、言語障害者、情緒障害者、自閉症者などである。

  • 特別支援学校

    障害者等が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を受けること」と、「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られること」を目的とした日本の学校。2007年4月1日以後は、盲学校、聾学校、養護学校が包括され、特別支援教育を行う学校として、同一の学校種となった。就学基準は以下のとおりである。
    『就学基準』
    〇視覚障害
    両眼の視力がおおむね0.3未満の方、または視力以外の視機能障害が高度の方のうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度の方
    〇聴覚障害
    両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上の方のうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能、または著しく困難な程度の方
    〇知的障害
    ①知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度の方
    ②知的発達の遅滞の程度が、①に掲げる程度に達しない方のうち、社会生活への適応が著しく困難な方
    〇肢体不自由
    ①肢体不自由の状態が、補装具の使用によっても歩行、筆記などの日常生活における基本的な動作が不可能または困難な程度の方
    ②肢体不自由の状態が、①に掲げる程度に達しない方のうち、常時の医的観察指導を必要とする程度の方
    〇病弱
    ①慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患および神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が、継続して医療または生活規制を必要とする程度の方
    ②身体虚弱の状態が、継続して生活規制を必要とする程度の方